リアルとフィクションの狭間で

園長 東 晴也

今日は、第2回目の運動会総練習でした。私は体調不良の理事長扮する海賊Kの代役として、年長バラエティーのリハーサルに参加させていただきました。肩から黒いマント、赤いヘッドスカーフ、片手に怪しい地球儀を持参しての登場です。

ひと通りのセリフが終わり、海賊は新たな旅に出発するという設定で場外にはけて、年長さんは宝探しをした後に、リハは幕となりました。年長さんたちが場外にはけるとき、Rさんがいつもの服装をしている私の顔を見て、ニコニコしながらこう言うのです。
「海賊してたの園長先生でしょー。」
「そうですけど」と、私は内心、なんでそんな当たり前のことを、あたかも大発見をしたかのように言うのだろうと思ったのです。しかし、すぐ「はっ」としました。これが子どもの認識する世界なのかと。

子どもは大人が演じれば演じたものを、大人が話せばその話したことをそのまま信じるものなのかもしれない。子どもにとっては、全てが「真実」で、それが「子どもの有する純粋さ」なのかと。園長が海賊の格好をしているなんて劇なんだから当たり前だけれども、海賊の話をしているこの人(園長)は、本当は海賊なのか?と思ったのかもしれない。そんな純粋さってあるだろうか!

たしかに、以前、長男の幼稚園の文化祭で、保護者会で劇をしたとき、私がネコ役で大きな魚に食べられる場面を演じた瞬間、長男が突然大きな声を出して泣き出したことがあったのを思い出した。

子どもは、リアルとフィクションの境界を明確に認識できない。というより、全てをリアル(真実)と認識するのかもしれない。つまり、子どもの世界には嘘はない!?

だとしたら、子どもが子どもであるうちに、本当に真実なこと、信じるにあたいすること、この世界の素晴らしいことを伝えたい。それをちゃんと語れる、伝えられる大人でありたい。

 

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。