今日は、今年3回目の火災避難訓練でした。午前11時、非常ベルが鳴り、園庭に集合し、点呼をとった後、今日は入間川中学校の正門まで移動(避難)するというものでした。
消防署から教示された避難(訓練)の心得『おさない、かけない、しゃべらない、もどらない(押さない、駆けない、喋らない、園舎の中に戻らない)』を、なるべく分かりやすく説明した後、質問を受けました。
その中で、年長のNさんが、まじめな表情のまま発してくれた質問は、際立っていました。それは、
「おなかがすいたら、どうしたらいいですか?」
私の中では、避難訓練の説明の後に受け付けた質問という前提がありますから、まさかの、想定外の質問でした。昨年度まで在職していた高校の避難訓練の場で、このような質問があれば、おそらく周囲の失笑を買ったり、「おまえ何言ってんだよ!」と言われたりする質問ですし、教師も「どういう意味?」と逆に問い直すような場面です。
しかし、今日は、他の園児も全員まぶたをぴくりとも動かさず、いつもの表情のままです。私は、逆に動揺しました。答えを用意していなかったからです。私は、一瞬言葉に詰まった後、
「いい質問ですねー。そういうこともちゃんと考えておかないといけないね」
とか言って、正答を言えませんでした。一通り、質問コーナーが終わり、みんなで園に戻るとき、私は年長の最後列にいたNさんの側に行き、今言える精一杯の回答をしました。
「大丈夫だよ。そういう時も、おなかが空かないように幼稚園で食べ物を用意するからね。」
すると、Nさんは、安心したように、両手を体の左右でひらひらさせながら、笑顔で列の前の人に着いて行きました。
Nさんは、本当にそう思ったんでしょう。火災が起きたら、保育室にお弁当を取りに戻ってはならないと言われたから、どうしようと心配になったんでしょう。本当に思ったことを、聞くべき人に、ちゃんと聞いたのですね。偉かったね!これが出来ることが、Nさんの素晴らしいところです!
周りにどう思われようが、臆することなく、疑問を解消するために努力する。この精神を失うことなく、育っていってほしいと心から願った瞬間でした。
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。