「なぜ薪ストーブにこだわりそれを使用しているのかを教えて下さい」への応答

園長 東 晴也

「あひるの家(理事長宅)」の薪ストーブ使用について、ご近所の方からご意見ご質問があり、現在、使用方法等についてのやりとりをしています。よい機会ですので、そのご質問と共に園長としての応答(考え)を保護者様にもご紹介いたします。

*以下が、メールのほぼ全文です。主旨を解りやすくするため、少し文言を訂正しました。

「このたびは、たいへんご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。薪ストーブは、今シーズンまだ一度も使用しておりません。今回ご指摘されたことを改善して、来月(12月)に備えたいと思います。今月はすでに(薪ストーブ使用の)予定表をお配りしていますが、今月は使用しないことにいたしました。来月の使用予定表は、もっと早めにお渡しするようにいたします。

次の2つのご質問について、回答させていただきます。
質問1「またこのご時世、昼間に薪ストーブを使用しなくてはならない理由をお聞かせください。」
これは、ひかり会(保護者会)の活動が昼間だからです。

質問2「なぜ薪ストーブにこだわりそれを使用しているのかを教えて下さい。」
あの家で使用している理由が、大きく分けて3つくらいあります。
1つめは、理事長宅を建てて(築30年以上)以来、薪ストーブが1階のメインストーブだからです。
2つめは、防災対策です。一人ひとり多様なエネルギーを選択し、使用できた方が災害時にはいいと思います。電気ストーブしか使用しない人は、停電したら凍えます。ですから、幼稚園は、太陽光発電や防災用水としての手漕ぎ井戸水もあります。
3つめは、一言で言えば好きだからです。これだと解らないと思いますので、少し補足いたします。私は2007年の原油高騰時、ガソリン市場販売価格が1リットル185円という時代を迎えた時、石油に頼らない生活をしたいと思いました。たまたま山形の過疎にいたので、比較的森林が近く、ナラ(楢の木)枯れもあり倒木が手に入り安かったという事情もありました。それで、思い切って、石油ストーブから薪ストーブに変えました。維持経費は、薪ストーブ代・煙突代を含め、石油ストーブより割高だったと思います。丸太を裏山で輪切りにしてから運ぶ手間、チェーンソーの維持費やガソリン代・オイル代、薪割りの手間、薪を家の壁に沿って積み重ねて乾燥させる手間、秋に家の中に運び入れる手間。薪割りの斧やチェーンソーによる怪我や腰痛等のリスク。でも、それ以上に、妻と息子たちは薪ストーブの温かさや炎のある生活が好きでしたし、子どもたちの成長にも良い影響があったと思います。

日本のエネルギー政策のほとんどは、大手の石油会社、電力会社、通信会社、製造業、運輸業者及びそこに発注する政府等行政の利益によるところが大きいと思います。Aさんも、地方の田んぼや農業の現場視察をされる時に、地方の山林を見る機会はあると思いますが、ほとんど手つかずで荒れてます。飯能の日和田山周辺ですら、手入れされておらず荒れてます。日本の森林や木をもっと活用することができれば、国産材を活用する林業やその周辺の産業にも雇用が生まれ、首都一極集中の人口ももっと地方に分散されるはずです。日本の行政や農林漁業関係者は、里山にある木、森林の活用をもっと考えるべきだと思うのです。

そもそもひかり幼稚園には、たくさんの樹木があり、そこから供給される剪定された枝などを薪として燃やせば、化石燃料使用による温暖化の抑止、CO2削減にも大きく寄与し、SDGsとしても当然評価されると思います。そのような良い教育材料が目の前にあるのに、使用しないのはもったいないと思うのです。若い世代の保護者や園児たちが薪ストーブに触れることをとおして、薪ストーブの温かさや環境問題にも関心をもってくれればと思います。

ただ、その薪ストーブから出る煙等によって、嫌な思いをされる方がいらっしゃるのは事実ですから、そこは相方の思いの妥協点を見いだしたいのです。
近隣の方々のご理解をなんとかいただきたいというのが私の思いです。
どうかご理解のほどよろしくお願いいたします。(2023.11.21)」  東晴也

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。