いのちを見つめる子どもたち

園長 東 晴也

子育てに熱心だった碁石チャボの母パーちゃんが亡くなって3週間が経ちました。あれから碁石チャボの雌たちは、時々卵を産むものの温めようとはしていなかったのですが、先週になってゲージの藁の上の卵が5,6個になったところで、雌の一羽が温め始めました。すると、まもなくもう一羽の雌も温め始め、碁石チャボのゲージの中の雌2羽で卵を今、温めています。パーちゃんが生きていた時は、温めるそぶりもせず、群れの長である雄にくっついていた雌2羽でしたが、パーちゃんの死後、しばらくして卵を温め始めたのは、群れの子孫を残すための責任的本能なのでしょうか。

そして、今日、年少さんがずっと飼育していた蝶々が、サナギから羽化して成虫になっていました。子どもたちは代わるがわる虫かごを覗いては、キレイなチョウチョを眺めていました。

身近な動物の死と誕生、そして誕生のための親(鳥)の努力の過程を間近に見ている子どもは、必ず「いのち」について考えると思うのです。生きものはなぜ死ぬのか?なぜ生きているのか?これは、大人でも分からない本質的な問いですが、身近な動物を通して、その問いに接する環境の中で、命の尊さと儚さ、生きていることの喜び、ご家族への感謝、他者への労わりなどを、教師がわざわざ教えなくても学んでいくのだと思います。

大切に育てていた幼虫がチョウチョになった!生きものは大切に育てれば生きていく。私たちも互いに大切にしあおう。それが、幼稚園(学校)が環境を通して教える教育です。

やがて、碁石チャボの赤ちゃんひよこが生まれるでしょう。そのときに、子どもたちはあまり多くしゃべらないだろうけど、その子のうちに響くいのちのドラマに静かに耳を傾けたいと思っています。(2024.6.4)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。