信じる心を育てる -堀米雄斗選手のコメントから考える-

園長 東 晴也

私の母が、結婚前、九州・熊本でアメリカ人宣教師の家政婦をしていた関係で、我が家には早くからアメリカの文化が入り込んでいました。例えば、日曜日の朝はパンケーキで、デザートはバナナケーキかブラウニー。そのアメリカ人宣教師のやんちゃな子どもたちが、私たち兄弟に教えてくれたのがスケートボードでした。

アメリカが大好きな一つ年上の兄は、すぐそれに夢中になりましたが、私は兄ほどなんでも器用にできる方ではないので、時々気が向いたらスケボを家の外の坂でする程度だったのです。その坂が、今ひかり幼稚園の降園時のピンクコースの坂です。今の中銀マンションの隣の鵜の木公園から滑って、カブの門辺りまでスケボをするのです。それが私の中学から高校までの遊びでした。今、そんな中学生がいたら、
「こら、危ないから止めなさい!」と、一喝されるでしょうけど、当時は、まだこの辺りは入間川中学校もなく、荒地ばかりののんびりした土地でした。

今朝、幼稚園に出勤する前、たしか東京五輪でも優勝した青年がテレビに出演し、インタビューに応える場面を見て、えっ、と思いました。すごい、連覇したんだ、と。その青年は、
「本当にわずかなチャンスを……オリンピック予選までは1パーセントくらいしかない可能性だったと思うんですけど、最後まで信じてこれたのが今日の優勝の鍵になったと思います」(olimpics.com)と語っていました。

最後の大逆転を可能にしたのは、最後まで自分を信じることができたからというのです。
金メダルの鍵になったのは、技術や能力ではなく、自分を信じたからだと。

実は、ひかり幼稚園は、こういう力を育てる教育をしているのです。自分を信じる。
あなたがやりたい(遊びたい)ことをとことんやって(遊んで)いいんだよ。それを先生方は全力で応援するよ。つまり、私はこのままでいいんだ、という自己肯定感を全力で尊重された子どもは、自信のある、つまり自分を信じる人間に育つにちがいないのです。これが、今、よく教育経済学で言われる、大切な能力である非認知能力です。一般的な学力のように客観的に測定できない能力です。測定できないから、これまでの教育界では、比較的ないがしろにされて来ました。しかし、昨今はこのような非認知能力こそが、「生きる力」となるという考えが主流です。つまり、忍耐力やコミュニケーション能力、社会性、そして自分を信じる力、自分を肯定する力、自己肯定感を育てることが、生きる力になるという考えです。

今朝、堀米雄斗選手のインタビューを聞きながら、ひかりの教育について、あらためて考えたひと時でした。(2024.7.30)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。