園長のひとりチラシ配り -その出会いと気づき-

園長 東 晴也

本日チラシ配り2日目。今日は、幼稚園から入間市よりの鵜の木地区がターゲット。午前10時頃、チラシ(新入園児募集とひかりバザー)をたくさん入れたリュックサックに水筒を入れ、日焼け用の麦わら帽子をかぶり、小分けにしたチラシ入りの手提げと鵜の木の地図、職質された場合に備えて名刺入れ、スマホ、汗拭き用の手ぬぐいを首からかけて、いざ出発!しようとしたのですが、これでいつもの白長靴だと完全に変なおじさんになると思ったので、革靴に変更。それでも、客観的かつ冷静な助言をまず聞こうと思い、職員室で仕事をしていたE先生に、
「E先生!これからチラシ配り行くけど、この格好でどう?」と聞くと、E先生はすかさず、
「農家のおじさんみたいです」と。そういうことではなくて、おかしいかどうかを聞いているのだが……と思いつつ、預かりの保育室の先生に聞きに行くと、
「ん……まぁいいと思います」という微妙な返答。そうこうするうちに、その保育室の園児の皆さんが、私の周りに集まって来て、
「えんちょーせんせー、なにするのー?」
「あのね、幼稚園のチラシを配りに出かけてくるね」
「チラシって?みせてみせてー……」
私は、リュックを一端下ろして、中からチラシを出して見せ、一通りのやりとりをしてから、出かけました。

実は昨年、地図で有名な某Z社に1万部の園児募集のチラシをポスティングしてもらったのです。そのターゲットは「幼稚園から車で10分以内、5歳以下の子どもを含めた家族3人以上の世帯」がいる地域です。世帯の内訳がなぜ分かるのかは分かりませんが、その結果は散々でした。その「チラシを見ました」という人とは結局一人も出会えませんでした!それで、今年は私自身で配ろうと決めました。私自身が配れば、その地域の方々の感触も分かるだろうし、ひかり幼稚園への認識やその好感度?!も肌感覚で分かると思ったからです。今日は、特にそれがよく分かった日となりました。

チラシを配りながら、その家の方と偶然玄関先で出会う場面が稀にあります。その時、
「あっ、こんにちは。狭山ひかり幼稚園です……」
と言いつつ、チラシを差し出すと、ある方は顎を少し上に動かして、その辺においといて、と言わんばかりのしぐさで応答して下さったり、またある方は、無言のまま、にこーっと笑って首を縦に振って下さったりと応答の仕方は様々です。面白いです。その応答の瞬間で、その方とひかり幼稚園との精神的な距離感がわかるような気がしました。

その後、中銀マンションの近くに一人で住んでいる叔母を訪ねました。入院中の従妹の容態などもお聞きし、バザーの案内をして、帰ろうとすると、「千葉のK君(従妹)から梨もらったから……」と言って、大きな梨を2つももらいました。
しばらく歩くと、ある方の家の塀に、昨年度の園児募集のポスターがまだ貼ってありました!ほぼ1年間貼り続けて下さっていることに感謝の思いが溢れてきました。

今日の配布予定が終わり、園に戻ろうとした時、今年卒園されたY君のお母さまと道端でばったりお会いしました!お母さまは、歩道の端に自転車を丁寧に止めて、私にY君の近況を話して下さったのです。彼の頑張りと成長、良好な友人関係、今後の見通しなどを語って下さるお母さまの子ども思いの優しい眼差しを見ながら、私は本当に良かったなぁと思いました。Y君をよく理解し、その可能性を引き出そうと努力して下さる人達に出会えていることに。

ゆっくり歩いてはじめて気づくことがある。その気づき、分かったこと、一つひとつを大切にしよう。自分の足で歩いて、分かったことこそ、子どもたちと生きるための確かな経験となるはずだから。(2024.8.20)

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。