園長 東 晴也
今週からキリスト教会ではクリスマスアドベント(待降節)に入りました。
「クリスマスおめでとう!」と言いながら、ケーキ、プレゼント、パーティーに興じるのが、一般的日本人のクリスマスの過ごし方ではないでしょうか?
でも、聖書、特に福音書に描かれているイエス誕生の記録は、ひとことで言うと「壮絶」です。
マリアは、そもそも妊娠する予定がないのに、「聖霊」によってみごもり、初産を迎えます。
さらに、「その子はいと高き方の子と言われる」と天使から告げられるのですね。母親としては、相当なプレッシャーだったはずです。
しかも、出産直前に、ローマ皇帝アウグストゥスの勅令が出て、ナザレからベツレヘムまでの約150kmを、大きなお腹のまま移動を強いられます。
さらに、目的地のベツレヘムでは、泊まる場所がなく、いわゆる馬小屋で、医師も助産師もいない中で、はじめての出産をするんですね。
そして、マタイ福音書によると、ヘロデ王による迫害(当時ベツレヘムとその周辺にいた2歳以下の男子を皆殺し)を逃れるため、エジプトへ避難するのです。今でいう難民だったのですね。
こう書くと、クリスマスのイメージが変わりませんか。そして、この30数年後、母マリアの目の前で、イエスは十字架で公開処刑されるのです。私、人類史の中でマリア以上に苦しんだ人間って、いないのではないかとさえ思うのです。
今年、ひかり幼稚園では、何人かのお母様方が出産を経験されています。私は、妻の出産に2回立ち会わせてもらいましたが、出産は母親にとっては命がけ、大変な偉業だとわかりました。医学の進んだ今でさえ、そうであるのに、2000年前、様々な苦難の中でイエスを産み育てたマリアの人生は壮絶だし、「お言葉どおり、この身に成りますように」と祈り受け止めたマリアの信仰って凄いなと思うのです。
だから、マリアの苦しみ、そして十字架にいたるイエス様の苦悩を思う時、私にはあまり気軽に「おめでとう、おめでたい」と言えないところがあります。心の中で、静かに、「神さま、感謝します」と思う一日が、私にとってのクリスマスです。
保護者の皆さま、皆さまにとって、素晴らしいアドベントをお過ごしください。
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。