子どもたちの創る力は、生きる力

狭山ひかり幼稚園

 園長  東 晴也

 

今日のわくわくアート(美術造形教室)での年長組の制作風景を見ていて、ふと思ったことがあったので、それを皆さまに共有させていただきたいと思います。

子どもたちは課題を与えられると、なぜか懸命に作り出します。それは楽しいからなのでしょうけれど、楽しいだけでそこまで夢中になれるのは何故なのでしょうか?

私は、この問は人類史的な問いだと考えています。人間は狩猟採集生活を経て、多くの民族は農耕牧畜生活に移行し、今日の文明を築いて来たというのが、一般的な定説かと思います。農耕牧畜生活では、自然に働きかけ、つまり麦などの食物を栽培するために、畑を作り、そのための道具を作り、さらに農耕には定住が必要ですから家屋を作って来たわけですね。人類は生き抜くために、またより良く生きるために「何かを作る」ということが必要だったわけです。

この何かを作り続ける過程で、家族が増え、社会を形成し、食糧を備蓄することで、労働の余暇が生まれ、その余暇の中で、食糧を獲得する以外の文化(カルチャー)が生まれていったのですね。つまり、何かを作ることによって、はじめて人間らしい生活を獲得できたことを考えると、「人は何かを作ることによって、結果的に楽しさや喜びが得られる」というDNAを、人類は歴史の中で獲得してきたのではないか。だから、何かを作ることは楽しいと感じるのではないか、というのが私の今日の結論としての仮説です。

「何かを作ることが楽しい」というのは、人間が歴史を生き抜くために、体の中に無意識に獲得した知恵であり、生きていくための力だったのではないでしょうか。
だから、「何かを作ることは、生きる力になる」と言えるのではないでしょうか。

今日も歴史の教科書のような、固い文章になってしまい、申し訳ございません。
子どもたちが懸命に制作する姿に感動し、これが生きる力なのでは?と感じたところを、保護者の皆さまにお伝えしたいと思い、ペンをとりました。

固い文章を今日も最後までお読みいただき感謝いたします。
くじゃく組さんは、後2か月で卒園です。園児の皆さんとの一日一日を大切に過ごして行きたいです。(2025.1.30)