園長 東 晴也
先日、市内の某会議において、某小学校の教頭先生からいきなり問われた言葉が、
「幼稚園児が自己決定することってあるんですか?」
です。みなさんは、この問いをどうとらえるでしょうか?
私は、もう会議も終盤で、他の席のグループは一様に解散しつつあったので、ここであえてその問いの真意をお聞きすることはしませんでしたが、この言葉に対して消化不良な思いのまま帰宅の途につきました。もしかしたら、その教頭先生の言は、私がその言葉を単純にとらえる以上の、もっと高次のレベルの意味で用いられたのかもしれません。例えば、「幼稚園児が、進路選択について、自己決定することってあるんですか?」
というのならまだ分かります。しかし、この問いの文言そのままを単純に解釈したうえで、応答するなら、
「あります」
としか、言いようがありません。さらに言うなら、
「自己決定しない幼稚園児がいると本当に思っているんですか」
と言うかもしれません。もっと言うと、
「園児が自己決定しないような幼稚園は、すでに幼稚園ではありません」
と言えるでしょう。
そもそも幼稚園は、「幼児の主体的な活動を促」(『幼稚園教育要領』)す場です。園児が、その幼稚園の様々な環境に刺激されて、主体的に自己決定をするなかで幼児の学習としての「遊び」がうまれ、友だちとの協働の遊びのなかで「コミュニケーション(対話)」がうまれ、その遊びをみんなで仲良く行うための配慮として「思いやり」がうまれていきます。幼稚園の現場の教師(2年目の園長)としては、このごく当たり前の現実が、小学校の教頭先生には理解されていないことが、幼小連携のなかなか埋まらない溝なのだと思うのですが、いかがでしょうか。
今日は、年中組主催で年長組を送る「おわかれパーティー」が行われました。このパーティーの内容を決定したのは、年中組(4歳児)です。その話し合いの様子をクラス担任のK先生は、職員会議で次のように報告してくれました。
「お別れパーティーの内容をみんなで話し合いながら、自分(園児)の意見がみんなに受けとめられていくことの嬉しさや、自分のアイデアが実現していくことの喜びを感じていることが分かり、とても嬉しかったです」と。
ひかり幼稚園の4歳児は、自分の意見を述べ、仲間の意見も聞きつつ、卒園する年長組を送るためのパーティーの内容を決定したようです。私も子どもの本当の姿を理解し、その成長を促すことのできる教師になりたいです。(2025.3.7)
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。