「受けるよりは与える方が幸いである」(聖書・使徒言行禄20章35節)。これは、新約聖書に登場する伝道者パウロが引用している唯一のイエスの言葉です。イエス様もパウロもこのことを自覚し、確信し、周囲の人々に語っていた、と聖書は証言しています。
実際、パウロはエルサレムでの名誉ある律法学者の地位を捨ててキリスト教伝道者となり、イエスご自身も彼の命を狙う人々に対し、ほぼ無抵抗のまま十字架で処刑されることで命をお与えになりました。
今、世界は、非常に極端な格差社会の只中にあります。「フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らが運営する『世界不平等研究所』(本部・パリ)が発表した。世界の上位1%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占め、下位50%の資産は全体の2%にとどまった。」(2021/12/27『日本経済新聞』)驚くべきことにこれは現代のことらしいのです。18世紀のフランスは「旧制度」と言われるほど社会体制が古く、人口の約2%しかいない特権階級が、全国土の約40%を独占し、さらに免税特権ももっていたという。これを改善しようとしない王朝はフランス革命を招き、やがて国王らは処刑されていきます。
当時のフランスと現代の世界、似ていませんか。さらに、今日の経済格差は、一国だけでなく世界に拡大し、しかも世界の上位1%が世界全体の個人資産の約4割を独占しているというのです。「与えるより受ける方が幸い(得)」というようなこの現実は、キリスト教の本質からはあまりに遠いように思います。
では、ひかりの子どもたちの世界ではどうでしょうか。今日、私が目の当たりにした現実(9月の誕生会での景色)は、それとは違いましたよ。与える側の人たちは、大きな喜びにあふれていました。写真をごらん下さい。プレゼントの王冠を手渡した直後の子どもたちの喜びに満ちた表情を。明らかに「受けるより与える方が幸い」のように見えませんか。イエスの言葉、パウロの言葉は真実に思えます。
与えることの幸いを実感しながら生きていきたい、と思わされた今日の9月の誕生会でした。9月のお誕生の皆さん、お誕生日おめでとう!
*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。