負けること、必ずしも負けることにあらず

園長 東 晴也

今日は、第54回運動会でした。各学年の発表あり、徒競走あり、歌とダンスと涙と笑いの一日でした。保護者の皆さま、ひかり会としてお手伝いくださったお母様、朝早くからそして終了後も会場準備と撤収に汗を流してくださった頼もしいお父様方、本当にありがとうございました!

私は、狭山市立I幼稚園の卒園生(当時まだひかりは創立前)ですが、恥ずかしながら幼稚園の記憶が全くないのです。当然、運動会の記憶もありません。ですから、ひかり卒園生のN先生やI先生が楽しそうに幼稚園での思い出を語られるのが羨ましくてしょうがありません。今日の楽しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、悔しいことも、全てが一人ひとりの人生の一部になっていくことでしょう。

学年対抗保護者リレーが終わって、フィナーレとなり、全園児が園庭でクッキーのメダルをもらっている時、一人テント脇で泣いている年長のKくんの姿がありました。誰が声をかけても下を向いて泣いたままです。私が「Kくん、どうした!?」と聞いても、下を向いて泣くばかり。この園児は、紅白リレーの練習で負けても、泣いてしまうほど感受性豊かな人です。

あとで担任から泣いていた理由を聞きました。私は、Kくんには特に負けるという経験は必要だと考えています。賢くて、何でもできるKくんは、将来間違いなくリーダーとなっていく人です。だから、人の気持ちの分かる人になってほしい。負けることによってのみ、敗者の気持ちが分かります。悲しむ人の気持ちを理解するには、辛いけれども自分が悲しい経験をするしかないのです。

そんな君に、期待と願いを込めて、日本を代表するキリスト者で思想家、内村鑑三の言葉を贈ります。
「勝つこと、必ずしも勝つことにあらず。
負けること、必ずしも負けることにあらず。
愛すること、これ勝つことなり。
憎むこと、これ負けることなり。」

 

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。