ひかりで育つ人生の土台の質

園長 東 晴也

気持ちのいい秋空の明るい日差しの下で、子どもたちの活動は多様さにあふれています。

年長さんは、美術館ごっこの準備で、一人ひとりがアーティストの顔に見えてきました。園庭の芝生エリアはアトリエと化しています。一方、年長さんでも、いつもの砂場でなにやら怪しげなチョコレートケーキを作っている人たちもいます。その人に
「美術館ごっこの準備はしなくていいの」と聞くと、
「えっ、あ、いいのいいの」だそうです。

年中さんは、秋の実や葉を拾いに公園までお散歩にでかけました。
年少さんは、土と肥料をブルーシートの上で混ぜて、一輪車で運んでいます。土木作業員のようです。
いつものように、園舎のテラスで日向ぼっこをする園児たちもいて、微笑ましく、面白い。

時間割がない自由な学校生活の記憶がほぼない私には、羨ましくてしょうがない風景です。幼稚園という学校で、
「ここでできるどんな遊びをしても良いよ。好きな人と一緒に、好きな遊びをしていいんだよ」
と言われたら、幼児期の私は一体何をしていただろうか? 自由に遊べる時間と空間が与えられ、私の自主性を徹底的に尊重され、どんなにおかしな遊びをしていたとしても、それを見つめる教師たち大人の眼差しが慈しみと愛情に満ちていたとしたら、私はもっと人を信じ、もっと人を愛し、自らの意思をもつことに自信をもてていたと思います。
それくらい幼児期の子どもが過ごす時間は、その人の「人生の土台の質」を左右する、決定的に大事な瞬間の連続のように思えるのです。
そんな大切な時間を共に生きることがゆるされていることに感謝しながら、子どもたちとの時間を大切に過ごしたいと思います。

*「『園長!』の写真日記」は、ひかり幼稚園在園児及びそのご家族を念頭に、その日にあった出来事を写真と共に振り返りつつ、執筆するものです。